ダーク&ノイズ
(希里は──)

『おかけになった番号は──』

(のぞみ!)

『おかけに──』

結局誰にも繋がらない。大きなため息をつくと、両手に持った携帯を膝の上におろす。


(ハブられた)


いまやそれは悠美の中で確信となり、心に重くのしかかっていた。




その夜、悠美の部屋のドアが静かにノックされた。

「悠美、まだ起きてるの? そろそろ寝なさい」

口うるさい母親の声だった。

「うん」

時計の針はまだ0時にもなっていない。

小学生じゃないんだからと、心の中でぼやく余裕すら今日は無かった。

家で良い子を演じているだけでも息苦しいのに、さらに学校でも居場所が無くなれば

──いや、それより自分が裕子のような目に遭わされるとしたら──

そう考えるだけで眠れるはずなど無かった。


(どうしよう?)


ずっとその想いが頭から離れない。

どうにかしなくてはいけない。このままでは最悪の高校生活になってしまう。

いや、高校生活そのものが終わりを告げるだろう。そうなれば自分はどうなってしまうだろうか?

という自問自答が始まると居ても立ってもいられなくなった。


(何であたしが……一方的に悪いのは希里たちなのに)
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