ダーク&ノイズ
内田だけではない。その場にいた捜査員すべてが、次々と地に伏した。

意識がなくなる間際、宇野の目が悠美を捕らえる。


(あの娘は──)


それに気づいた宇野だったが、そのまま思考は深淵に沈んだ。




(やっぱり佐々木さんはすげえ)

恭一は、改めてそう思う。

佐々木は自分の力を過大評価しないが、それでも過小評価しすぎではないだろうか。

これほどの力があれば、たとえ相手が神でも、何とかしてくれるのではないかと期待をふくらませた。

が、その感情を、佐々木は敏感に察知した。


「こんなものでどうこう出来るものではないよ」


そう言うと、倒れた捜査員をよけながら、神社への道を歩き出した。



間もなく神社への分かれ道がある。悠美はそこに差し掛かると、よみがえった恐怖で足を止めた。


「佐々木さん、あたし怖いんです」


三人は足をとめた。


「あの穴には何かいるような気がするんです」


あの夜、穴の奥から自分に近づいてくるものがいたような気がする。



圧倒的な恐怖。



禁忌から逃れようとする本能が、そこにとどまることを許さなかった。


「絶対なにか居たんです」


近づくにつれ、膝が震えてくる。これ以上、悠美にもどうしようもなかった。本能が拒否するのだ。

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