ダーク&ノイズ
そしてひと月ほど経った頃、夜になると山のほうから音が聞こえてきた。



コオーン……



釘を打ち付けるような音が、少しくぐもって低い音に変わっていた。



コオーン……



その夜、娘が一人姿を消した。


その次の日もまた音が聞こえてきた。

村の人間の何人かは、その音を確かめに山に入ったが誰一人として帰ってこない。そしてまた一人、朝になると娘が姿を消していた。


そしてまた次の日も──


村は恐慌に陥った。


しかし打つ手はない。

夜な夜な村の娘がいつの間にか消えていくのを、指をくわえて見ているしかなかったのだ。



そして最後に残った娘はお凛だけになった。

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