ダーク&ノイズ
その恨みの強さが並大抵ではない。

「許さないからな……悠美」
「苦しいよ……すごく苦しいの」
「こんな目に……よくも」

目をつむった悠美の耳もとで、それら亡者となったかつての仲間たちは、苦悩の恨み言をとなえ続けた。

闇の領域に引きずり込まれた魂は、何万年もの間、最大の痛みと苦しみの中でのたうつことになる。

そしてのち、何も考えられなくなり、負の思念エネルギーに取り込まれてゆくのだ。

そこに悠美の魂を引きずり込まねば、希里らの恨みは鎮まらない。


さきほどから何度も交信を試みていた佐々木は、さすがにさじを投げかけた。

どんな言葉も通じない。というより、まったく聞く耳を持たない。


これほど自己の感情でしか動かない魂に出会ったのは、佐々木でさえ初めてのことだった。

(やむを得ん)

佐々木は力技による除霊を行うことにした。

それをやると、結局は希里らの魂をさらに深い闇に堕としてしまうことになる。

が、ここまで悪意の強い霊は危険すぎる。下手をすると、第二のお凛を生み出してしまう可能性すらあった。

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