ダーク&ノイズ
「木下!」


三人は、その名前を同時に叫んでいた。



佐々木は立ち上がった瞬間、背中から胸にかけて、冷たい感触が走ったのを感じた。

と同時に、そのナイフを持つ魂の想念が流れ込んできた。

(お凛……!)

肺の中が血にまみれ、喉を血液がかけあがってくる。

(そうか……お凛の目的は)

言葉が出ない。

気を練ろうと息を吸い込んだとき、気道から血が噴き出した。

(うかつだった)

佐々木はそのまま地面に倒れこんだ。



その場が凍りついた。

恭一だけではない。琢己も悠美も言葉を失ってその場に立ち竦むしかない。


返り血を浴びた裕子の目が、今度は悠美をとらえた。

それに気づいた琢己が、ようやく言葉をとり戻す。


「木下、なにしてんだ」


裕子の顔が琢己に向いた。


「木下って……あたしは」



月明かりが陰り、その顔が一瞬暗闇にかくれる。



「……お凛よ」


再び月明かりに照らされたその顔は、無残に焼けただれた異形へと変わっていた。



三人は息を飲んだ。

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