ダーク&ノイズ
お凛一人になってから、あの音は聞こえてこない。

あの音は呪いをかけているのだろうということになり、もう一度有志を募って山の中に入った。

そしてついに御神木の根元の穴の中へとたどり着いたのだ。

そこで見たものは、凄まじいまでの呪詛を滲ませている呪いの儀式が行われた形跡だった。

狭い穴の中で無数に打ち付けられた藁人形を見て、村人らは震え上がった。

恐る恐るその藁人形を紐解いてみると、消えていった娘らの名前を書いた紙が入っている。


そこにはただ一人、お凛の名前だけが無かった。


これには村人が黙ってはいなかった。


娘を失くした恨みは並大抵ではない。

殺気立ってお凛の家に乗り込むと、そこには全身をただれさせ、イモ虫のように這う気味の悪い女がいた。

言葉を発する口も半分塞がれているその姿に、その場の全員が総毛立つ。それでも恨みが晴れるわけではなかった。


「お前がやったんだろ!」


誰かがそう発すると、その場の緊張感が臨界点を超えた。

鍬を持った老女が、お凛の足に鋭い切っ先を振り下ろす。お凛は恐怖と痛みの叫びを上げたが、その声にかつての面影は微塵も無かった。

喉と口を焼かれ、もはや獣のような声に変わり果てていたのだ。


皮肉にもそれがきっかけとなった。

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