ダーク&ノイズ
人間とは思えない女、人間であると思っている村人。

人間側からすれば、それ以外の者は徹底的に排除されるべき、忌むべき者だ。

手にした農具は次々と振り下ろされた。

大きな叫び声はやがて小さくなり、そしてついに途絶えた時には、村人らの前には肉片と成り果てた元人間の死体が転がっていたという。

「天罰じゃ!」

おのれの罪を正当化しようと吐き捨てた村人たちだったが、やはり何となく胸に残るわだかまりは消せなかった。


娘らがお凛を虐げていたことは知っていたからだ。


しかし、それでも村人は肉親を失った悲しみで罪悪感を塗りつぶした。

とにかく村に平和が戻ったのだと、村人たちは胸を撫で下ろしたのだ。



しかし、その夜から再び惨劇は始まった。

「お凛は死んだはずじゃが……」

「迷いおったんじゃ!」

「お凛が化けて出るぞ。戸締りせえ!」

怯えを隠さない村人らはその夜、家族で抱き合って震えあがった。


コオーン……コオーン……


「だからワシは嫌じゃと言うたんじゃ」

「えらいことになったぞ」


どれだけ耳を塞いでも聞こえてくる。

闇夜に響くその音はおどろおどろしく村に鳴り響いていた──

< 25 / 250 >

この作品をシェア

pagetop