ダーク&ノイズ
「俺さ、木下と中学同じだったんだよ。だから相談されてんだ」

悠美の目の前が真っ暗になる。

日差しは強いのに、暗い闇が取り囲む感覚に足をすくませた。

「そんな奴らと一緒に行けるかよ。お前もあいつらとの付き合いやめろよ」

そう言われても出来るわけがない。


琢己は実態を知らないからそんな無責任なことが言えるのだと、むしろ逆に頭に血を上らせた。


「琢己こそなんで木下と連絡なんかとってんのよ!」

「そんなんどうでもいいだろ。こっちが質問してんだよ」

「浮気してんの?」

「馬鹿言うなよ!」

「頭きた!」

「ふざけんなよ。なに決め付けてんだよ!」


半分は恥ずかしい自分に対する嫌悪。そして半分は本当に嫉妬の気持ちだった。

それにこの場をごまかそうとする計算が働くと、悠美としては引き下がるわけにはいかない。

「バイバイ!」

「おい、ちょっと待てよ」

「独りで帰んだよ!」

琢己を無視して悠美は独りで歩き出した。


それを見送った琢己は、大きく息を吐き出すと、とぼとぼと歩きだした。


何のことはない、帰り道が一緒なので、ゆっくり歩かないと追いついてしまうのだ。

琢己も追う気は無かったということだろう。

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