ダーク&ノイズ
(ばかな!)

川田は眉間の指を開いて額の汗を拭う。短い髪を掻き揚げると三度息を飲んだ。


コオーン……


「そんなはずはない……」

しかし川田は次に続ける言葉を失くしている。悠美たちは耳を塞いで身を寄せ合っていた。

「あっ!」

静まり返る警備員室に進藤の声が上がると、縛り付けられていたように固まっていた全員が身を縮ませた。

「脅かすなよおい」

不満げに洩らす川田を無視して進藤は続けた。

「ちょっとだけ戻してください。藤崎夏美さんが消える直前のとこ」

繰り返し観た映像がまた映し出される。そこで進藤が再生スピードを落とすと、あるコマで停止させた。

「ここ……」

手すりにしがみついた夏美が映っているだけだ。どこにも犯人の姿は映し出されていない。

「これが?」

川田には進藤の意図が分からなかった。

「この足首を見てください」


そう言って夏美の足首を指差した途端、室内は絶叫に包まれた。



今度は川田が制しても、少女らの悲鳴は収まらない。川田自身も背筋を伝う汗を止めることが出来なかった。

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