ダーク&ノイズ
駅前の喫茶店に足を踏み入れた琢己と悠美。

わずかに暗い店内を見渡した琢己は、奥の席に見慣れた友人がいるのをみとめて手を挙げた。

その隣の席には、琢己も初めて見る長髪の男がいる。

神経質そうだが、美形の部類に入る。

「あ、どうもっス」

琢己がその男に頭を下げると、悠美も神妙に頭をさげた。

その悠美を見た男は、一転、静かな表情のなかにけわしさを覗かせた。

「こいつは中学からのダチで恭一。そして──」

その先は恭一が繋いで簡単な紹介をした。

「こちらが佐々木さん。自信を持って紹介できる霊能者だ」

(若い……)

悠美はまずそう思った。

想像では、年配だろうとなかば確信していたのだが、見たところまだ大学生くらいか。

「信頼できないなら引き取る」

佐々木は冷たく突き放した。

「え?」

心を読まれたのかと、悠美の胸の鼓動は一瞬とまった。

「言われなくても表情でわかる。心を読んだわけじゃない」

かといって、いまの悠美にできるのは誰かに助けてもらうことだ。頼りなく見える霊能者でも頼るしかない。

「いや、助けてください」

短い言葉に必死の懇願がこめられていた。

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