ダーク&ノイズ
悠美の顔をじっと見据えた佐々木は、

「いいでしょう」

と言って、コーヒーをひとくちすすると、おもむろに口を開いた。

「呪いは、間違いなく君にふりかかってる」

その言葉に一番驚いたのはオカルト好きな恭一だった。

彼はオカルトを研究し認めながらも、反面、あやふやな事象を否定する現実主義者でもある。

「本当なんですか?」

「うん、しかも相当にタチが悪い」

いまさらそんな言葉を突きつけられても、すでに動揺するような悠美ではない。

「それを祓ってください」

当然出来ると思っていた。しかし、その懇願は自身に強烈に跳ね返ってきた。

「どちらを?」

(え?)

その言葉の裏をとらえると、

(見通されてる)

というそら恐ろしさと、同時に恥じた感情がわいた。

「失礼だが、君だね。呪いをかけたのは」

ためらいもなく、佐々木はそう言った。

琢己と恭一が目を剥いて悠美を見る。

その視線から逃れるように悠美は肩をすくめ、そして長い沈黙がながれた。


「……ごめんなさい」


沈黙に耐え切れなくなった悠美が、ぽつりともらした。

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