ダーク&ノイズ
「誰を。誰を呪ったんだ?」

恭一は当然悠美に良い感情は抱いていない。責めるような口調だ。

「希里と真知子と、のぞみと沙理奈」

「あんたのダチだろ?」

「だって、自分がいじめられると思ったんだもん」

「実際やられたのか?」

「それは……」

「ほらみろ。琢己には悪いけど、俺はあんたを助けたいとは思わないね。たったそれだけの理由で人を殺そうとするなんて、信じられない」

「そんな、いじめられたら学校とかも行けないんだよ。そうなったらあたしの人生メチャクチャじゃん!」

その言い訳を聞いた恭一は、さらに怒気を増した。

「それが分かってて、あんた自分が何したか言ってみろよ」

「何って……」

「木下裕子に何したか言ってみろ!」

その名前を聞いて、悠美は信じられないという表情で琢己を見た。

「なんでそんなこと言うの。他人に話すことじゃないでしょ!」

激昂した声が狭い店内に響いた。

「なに、あたしの裁判でもしたいの? ふざけないでよ。あたしは死にそうなのよ。なんで助けようとしないの。もっと苦しめってこと?」

「ちょ、悠美──」

席から立ち上がった悠美をなだめようと、琢己があわてて肩をおさえた。

「触んないでよ。みんな嫌い!」

店のマスターが冷たい視線でカウンターから乗り出した。

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