不機嫌マーマレード
「着いたよ。」



あ・・・・・・。



胸に抱えていたバッグを持つ手に力が入る。



車から降りたくない。



「千景?」



心配そうに覗き込む彼。



お願い。私の気持ちに気づいて。そして、「○日に会おうね」と言って。



「千景・・・・。」



ゴツゴツとした大きな手が私の頭をポンポンと叩く。

< 12 / 60 >

この作品をシェア

pagetop