不機嫌マーマレード
「ふうん・・・」



そう小さく言うと洗面所から出て行ってしまった。



子供に留守を任せて男の家に行くことに罪悪感が無いわけではない。



もっと小さな子供だったら私は夜出て行くことも無いだろう。



一樹が成長し、自分の意思で行動するようになったことへの安堵感なんだろうか。



私に気の緩みが出来ているのかもしれない。



自分が女であることを忘れたくないというのは、子の居る母親が持ってはいけない気持ちなんだろうか。



圭吾の家で軽く直した化粧を全部落としてリビングに戻ると、一樹が1枚のプリントを出してきた。
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