不機嫌マーマレード
「おはよう。」


優しく、そして太い声が私の耳に聞こえてくる。


カチャリと小さな音を立てて目の前に差し出されたティーカップから爽やかな香りが漂う。


カップの隣に置かれた小皿からは甘い、甘い、ストロベリージャムの香り・・・。


あぁ・・・・そうだった。


昨日、彼の部屋に泊まったんだった。


正面に座って自分のカップを口にするその人は、半年前から付き合い始めた圭吾という名の年下君。


とはいえ、お互いに30代後半、と年齢的には致命的。


恋愛ごっこしてる場合ではないんだけど、そこは大人なところを見せる。





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