不機嫌マーマレード
私はテーブルに肘を付き、経済新聞を広げて読む彼の横顔をちらりと見ながら紅茶を啜った。


「ねぇ、千景。」


なあに?


新聞から目をそらさず声をかける彼。


「今日は帰らなきゃいけないんだろ?」


あ・・・・。


そう。帰らなきゃ。


「送っていくから。ね。」


「うん。」


鼻の奥がツンとして、何だか寂しくなる。


ねぇ・・・どうして私たち、一緒にいられないんだろう・・・。


いつもこんなだ。

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