不機嫌マーマレード
なんか空しい。



「圭吾、今日仕事は?」



「あるよ。でも昼からで。」



「ふうん・・・。重役出勤ね。」



「役員だもの。」



ははっ・・・・と彼が笑うと私まで笑顔になる。



こんな時間が長く続けばいいのにと思う。



それでも時間は残酷なもので、お互いに仕事を持っている二人を引き裂いてくれる。



「着替えてきたら?バスローブのままじゃ風邪引くよ。」



「わかった。」



手の中で冷たくなった紅茶を飲み干して、私は寝室に入る。

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