不機嫌マーマレード
ベッドの下で脱ぎ散らかしていた洋服は、圭吾の手によってベッドの上に揃えられていた。



いい加減な性格の自分がとても恥ずかしい。



バスローブを脱ぐと、ベッドの側に置かれた等身大の鏡に自分の生まれたての姿が映る。



20代の頃とはずいぶんと違ってたるんだ皮膚にゾッとする。



ツンと上を向いていた乳房も、キュッと上がっていたヒップも今では見る影も無い。



自分が男ならこんなオバサン、相手にもしない。



圭吾は私のどこに惚れたのだろう?



こんな取り得も無い私・・・。



悲しく俯くその顔も、もう可愛げなんて無いのにね。



胸がキュンと音を立てる。咄嗟に両手で覆ってみても、胸についたキスマークも手伝ってその痛みは消えない。



唯一、この跡だけが彼が私を愛してくれている印なのだと言い聞かせる。

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