不機嫌マーマレード
私は服を着て化粧をし、圭吾のいるリビングに戻った。



圭吾は私の支度を待つ間に紺色のスーツで身を固めて待っていた。



私を送った後、そのまま会社に行くのだろう。



彼はどんな服を着ても着こなしが上手だ。



決して派手ではなく、上品なそれは、美しい。



彼のスーツ姿が好き。



チャラリと彼の手の中で音を立てるキーケースに現実に引き戻される。



数十分後には彼との時間もバイバイだ。



また今度、いつ会えるかわからない。

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