それぞれの恋の結末







「あのねぇ、言ってなかったけどお母さんの家、18歳になったら結婚相手を見つけるようになってるみたいなの。その事をパパに話したら、……ね?」



「ね? って……。いやいや、その理由が分かりません。もっと詳しく教えてよ。っていうか、なんでこのご時勢でそんな決まり事があるのよっっ!」



「それは、家に入ったら分かるから。……あら、あなた沙菜の彼氏? だったら、あなたも一緒に」




 的確な沙菜のツッコミに母は満面の笑みを浮かべながらそう答え、今度は迅を見て勝手に沙菜の彼氏かと思い、家にあがらせる。

そして、居間に着いた途端、沙菜と迅をソファに座らせるとすぐ様古めかしい大きな本を持って戻ってくる。






「………何これ、ママ。てか、パパは?」



「パパなら寝込んでるわよ。この本は、……まぁ最初から話すと小柳家は平安初期から続く家柄でね。で、この本は平安後期の小柳家のお姫様が書かれた、『お手紙』みたいなものね。それと、パパが言ってたことなんだけど、あれはパパの勝手な思い込み。18歳を過ぎれば、結婚できないんじゃないかって思ったみたいだから」



「あ、そ。………で? その『手紙』になんの意味があるのよ?」




 そんな沙菜に、母は小さく笑いながらゆっくりと口を開く。




「当時、柊家と長い戦があってね。で、姫様が18歳の時に両家は話し合いの結果、『和平条約』を結ぶことにしたの。で、それを周りの人たちに知らしめる為に、柊家の子息と小柳家の姫を政略結婚させる事にしたんだけど。……でも、やっぱり自分の好きな人と結婚したいじゃない? だから………まぁ、あとはその本を読めば分かるわ」




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