ガールズ・トーク
一方の隆は

話を聞いているのか
聞いていないのか

時折、外を見ては
千春の顔をじっと
見ていた。

すると、
喋り続ける
千春を征するかの
ように隆が
口を開いた。

「俺さ」

「何?」

「まだ、誰にも
言ってないんだけど、
千春には分かって
欲しいから
ちゃんと言うね」

隆は一息深呼吸をした。

「俺さ、真剣に
絵で生活しようと
思ってる。
だから、就職しなかった。
甘い世界じゃないことは
わかってる。
だけど、勝負したいんだ。
だから、待ってくれるか?」

「待つって何を?」

「将来。
今の俺には
はっきり言って
将来はないからさ。
でも、必ず将来を
手に入れるから、
それまで、待てて欲しい」

「それって、
結婚てこと?」

「それを含めて」

「私さ、隆が就職しなかった
時点で分かってた。
真剣に絵で生活したいんだなって。
だから、私は待つよ。
だって、隆には才能があるって
信じてるもん」

「ごめんな」

そう言って
隆は不安そうな
顔をした。
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