ガールズ・トーク

彼と同じだった。

浅岡透。

里美が大学２年の
頃から、就職して
１年目まで付き合った
男だ。

透は小説家を夢見ていた。
卒業後が就職せず、
バイトをしながら
アパートで小説を
書いていた。

里美は、そんな
透が好きだったし
尊敬していた。

給料が出たら、
たくさんの食料を
買い込んで、透の
アパートで料理を
作っていた。

いつも切り詰めて
生活をしている
透のために、
何かしてあげたかった。

彼の夢を一緒に
叶えたかった。

しかし、それが
透にとっては
重荷だったのだ。

学生の頃は、
同じ場所にいて
何でも分かり合える
つもりでいた。

だけど、別々の世界で
生活するようになった時、
自分が女を支える側
だったのが、
今では、女に支えられている。

そんな現状が透には
耐えられなかった。

でも、あの頃の
里美には
透の気持ちは
全く分かって
いなかった。