ガールズ・トーク

今日の智子は違っていた。

ニコニコ笑っている。
含み笑いを浮かべながら
何かを言いたそうだった。
こういう時は里美から

「何かあった？」

と聞いて欲しい合図なのだ。

分かっているが、
里美はちょっと意地悪をして
聞かなかった。

でも、どんなことでも
智子が笑っているのは
嬉しかった。

「ねえ、私に聞きたいことない？」

「ないよ」

「もう！　聞いてよ」

「どうぞ」

「私、お見合いしようかと
思ってるの」

「えっ？」

「親が持てきたのよ。
私があんまり泣いてるから
見るに見かねて、お見合い話
探して来たみたい。

でね、これをきっかけに
立ち直ろうかと思ったの」

「それでいいの？
淋しいだけで、お見合いしても
相手に失礼じゃない？」

「きっかけが欲しいんだよね」
淋しいもん。誰かと一緒にいたいと
思うもん。もしもよ、お見合いして
気に入って結婚出来たらラッキー
じゃない」

「結婚ね〜。そんなに
結婚したいの？」

「したいよ。だって30だよ30」