ガールズ・トーク
午後11時。
「ラバーズ」は閉店する。

30分前に若いカップルが
帰ったのを最後に、
店内には智子以外の
客はいなかった。

バイトの由佳里には
1時間前に帰って
もらっていた。

「店閉めるよ」

「手伝うよ」

智子は慣れた動きで、
看板を中に入れて
ライトを消して
鍵をかけてくれた。

軽く掃除をして
テーブルを拭いてくれる。

智子が閉店作業を
してくれている間に、
食器を洗い
今日の売上を計算する。
そして、軽い食事を作った。

この光景は、
智子が誠と別れてから
半年よくある光景だった。

智子は冷蔵庫に行くと
勝手に開けてワインを手にして
満面の笑みでたっていた。

「これどうしたの?
飲んでいい?」

「お客さんにもらったの。
智子さ〜今日浮かれてない?」

「浮かれてるかもね。
だって、チャンスが
目の前にあるかも
しれないじゃん」
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