トドケモノ 【短】
あれから2日が経った。
はじめは直から着信がはいってたけど、無視してたらこなくなった。
あたし、おかしいの。
もう直とはさよならして、関係なくなっているのに…
自分から無視したくせに…
…着信がないのをさみしいって思ってる。
ものすごく身勝手ね、あたしって。
クスクス自分を笑いながら見やった先は
…『ごめん』の数々。
これ、どうしようか…。
見てると辛い。
でも、でも…こんなモノでも、直がくれたモノだから…
棄てることはできない。
あたしの身体は、そんなことしてくれない。
できるはずがない。
だって、今もこんなに直がすきなんだもの。
ゆっくり立ち上がりそれらに近づく。
ひとつずつ手にとってじっくり眺めた。
ただ手に取っているだけて、もう随分見ていない、直の笑顔が頭に浮かぶ。
もう会えないのに、いまだ鮮やかに思い出せてしまうことが切なくて、冷たい涙が一筋、頬を伝った。
そのとき
ピーンポーン
暗い空気を吹き飛ばすような、やけに明るい音が部屋に響いた。
……だれ?
あたしはぐいっと涙を拭い玄関にむかった。
「…どちらさま?」
扉ごしにそう問う。