クリ-ミ-ココア
「……そんなに飲ませたくねーなら変わりにお前が飲め。」



灰皿にタバコを乱暴に押し付けると、挑発的な視線を送った。



「飲めよ。そしたら今日はやめてやる。」



口元を上げ挑戦的な目つきに自然と私の手が動いた。



延ばされた手は缶を掴んでゆっくりと自分の口元に運んでいく。



やってやろーじゃないの。

小さくなった飴をかみ砕き意を決した。


なぜか私はあいつの挑発に乗ってしまったのだ。



缶を傾け一気飲みをする。



そんな私を、目を見開いて驚くあいつ。



まさかやるとは思ってもなかっただろう。



「バカか!」



思わず払いのけ私の手元から缶が飛んで床に転がった。



ほとんど無くなってしまって軽くなった缶が虚しい音を立てる。
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