クリ-ミ-ココア
「あの……御用件は……」



恐る恐る聞く。



大丈夫。



この教室には向かってない。



あいつの電話から聞こえる女の声で、向こうもまだ教室にいるらしい。



「辞書」


「……………はい?」



「辞書持ってこい英語な。国語じゃないぞ」


「…辞書ってーー…」


「何度も言わせんな英和辞典!!」



うっ………怖い



「辞書…今、私のクラス使ってない………」



けど私もめげちゃダメ!


言い返せるって所を見せなければ!!



「あ??」



がっ…頑張れ!!


比奈!!!!



「頼めば……あんたなら、すぐ貸してくれるよ」



気持ちとは逆に声は震えてるけど……



「もう一回言ってみろ」



ひぃぃいぃぃいいーー


やっぱこーわーいー!!!!



「はい…………」



私のYesを聞くなり電話は切れてしまった。



「セリ…辞書…」




「もってないよ〜」



丸聞こえだったのかココには来ないと分かったセリは、鏡で髪型チェックをしていた。
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