一緒にお勉強
「……こりゃ行ってもコロされるし行かなくてもコロされるかもわからんね」
寮生の一人は洋平を見て、帝に同情する。
「お前さあ……ほんと、あんまり霧山いじめんなよ……」
「俺が!?なんで?いじめてないよ」
「相当、霧山ストレス溜まってると思うぞ」
「俺をなんだと思って……」
「……という間に15秒」
「っ!!ごめ、俺、行ってくる!!」
ぺたぺたと裸足で廊下をかけていく洋平。
「こらあ!佐倉!!廊下は裸足禁止って何回言ったら……」
今度は遠くで管理人のおばちゃんの怒声が響く。
「ぎゃあ!!ごめん許して!」
そして、追い討ちをかけるべく鳴り響く着メロ。
「あああ!試験期間はマナーモードにしろって何回言ったら……」
「ごめん!ごめんってば!ちょっ……離して!はやく行かないとコロされる!!ああああ電話切れた!怖っ」
遠ざかる洋平を見ながら寮生は、何とも言えないやるせなさを抱えながら扉を閉めた。
「……さあ、ほっといて勉強勉強」
「まったくだな……霧山に同情するよ」
彼のルームメイトは答えた。
「けどさ、あれで霧山もけっこう楽しいのかもね」
「そうかあ……?」
「だって、なんだかんだであいつら一緒にいるし」
「……だな」
友人の元へ急ぐ洋平の足音はすっかり遠ざかっていった。