一緒にお勉強

「いたい……まじでうまいのに。じゃあ俺がもらう」


洋平がピザパンをかすめ取ろうとするのを、俺は阻止した。

洋平は渋々手を引っ込める。


「じゃあ分けよう。定規ない?」


「定規?」


「袋の上からそれで割んの」


洋平に定規を渡すと、袋の上からピザの真ん中、ちょうどレッドチリゾーンといちごゾーンの境界にあてる。


「こないだこれやったら、片側袋の口開いててパン飛び出していってびっくらこいた」


「すげえ目に浮かぶ……」


洋平がパンを切って、片方を俺に渡してくる。


「でさ、ヨーグルって、あれ、成分なんだっけ?」


「いまその話出すのかよ」


「なんか懐かしくて食べたくなった」


レッドチリのピザパンはうまかった。

これをいちごとドッキングさせようなんて狂気の沙汰だと思う。


「近くに駄菓子屋できねえかなあ」


「お前、買いに行けるの?子供にまぎれて?俺はやだよ」


洋平は満足そうにいちごのデザートピザをむさぼる。


「あー……確かにちょっと恥ずかしいなあ。夜に買いに行きたい」


「夜は開いてねえだろうよ」


「24時間営業の駄菓子屋とか最高」


「こえーよ。深夜に子供が駄菓子買いに行くってすげえシュール」


むわん。
いちごの甘い匂いが伝わってくる。
甘いのはすげえ苦手。


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