COLORS番外編 ★ 夏色

 花火なんて毎年見ているのに、今年は格別のような気がする。

 ドドドドドド……

 連続仕掛け花火が打ち上がった。

 「「ぅぉ~」」
 「「綺麗~」」

 この屋上は、歓声に包まれた。

 あれだけあったお菓子の山が、ゴミの山と変わっている。

 クライマックスは、今まで以上に夜空が白い光りを放つ。

 1時間ちょっと

 あっという間の一時

 これで、この夏も終わり……だな。

 賑やかだった空も屋上も一気に寂しさを募る夜に。

 「今日はありがとうね」

 「七海、今日は何処泊まるの?」

 ずっとムッツリしていた李樹がようやく口を開いた。

 「従姉妹のお姉ちゃんの家にね」

 「そっか。気を付けて帰れよ」

 この暗い道を一人で帰すのか!?

 「李樹、駅まで送ってやれよ?」

 「大丈夫よ、祐希くん」

 「行くぞ」

 「あ、うん。じゃね」

 七海さんは、ムッツリ李樹に手をひかれ、俺たちの前から消えた。

 「俺らも帰ろっか」

 「そだね」




< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop