COLORS番外編 ★ 夏色
「あ~ぁっ、面倒くせぇな。なんで登校日なんてあるんだよ!?」
誰もいないこと良いことに、道の真ん中で大きな独り言のようにぼやく。
「祐希先輩、随分荒れてますね?」
「あ、李樹。お前は、なんだってそんなに清々しいんだよ?」
偶々通りかかった李樹が声をかけてきた。
「別に。普通」
相変わらずクールな奴。
コイツは、俺と同じバスケ部に所属している二年の高村 李樹(タカムラ リキ)。
小生意気なところがあるが、頼りがいもある。
「夫婦ゲンカもたいがいにしてくださいよ?」
「だから、俺たちは未だ――」
「同じようなもんじゃないの?」
「……」
「今から尻敷かれていたら、これから大変ですね?」
「うるさい!!」
確かに、涼香と同じ家で暮らしている。
これには訳があるんだ。
それは
――3年前
彼女は母子家庭だったんだが、その母親が病気で亡くなってな。
うちの母ちゃんと涼香の母が仲良かったっていうだけで彼女を引き取ったんだと。
まぁ、全く知らない奴が転がりこんできたわけじゃねぇから俺も納得したってわけ。
もちろん同じ屋根の下ってのは、学校の連中には秘密。
李樹だけは知っているけどな。
こんなの他の奴らにバレたりしたら、格好の餌食だ。
彼カノは公認されているけどな。