アリスの作り方
「僕が見えるの?」
少年が急に流暢な日本語で妙なことを言った。
だからといってまだ立ち上がる気配はなく差し出した私の手は戻すに戻せない微妙な状況だった。
「え?何?どういうこと?」
確かにとても透ける様な程に白い肌だが幽霊には見えない。
少年とぶつかった感覚もあったし、彼とぶつかったから生まれたお尻の痛みもまだ少し残っている。
私が怪訝な表情で少年を見つめていると、少年は何か思い浮かんだのか、私の差し出した手を両手でつかみながら思い切り立ち上がった。
それから私の目を見つめながら真剣な口調で言った。
「やっと……見つけました……。”アリス様”」
……。
アリス?
誰?
そう思い少年を見てみると、私にキラキラという擬音がかかりそうな視線を送る。
もしかして……
やっぱり……
私の事?