アリスの作り方
けれど私としてはそれよりもその少年が被っているシルクハットが気になっていた。
(もしかして……帽子屋?)
「あなたは……帽子」
「あれ、ヤマネ。スペシャルゲストにお姉さんが来たよ」
私が少年に尋ねようとしたら、私の言葉をさえぎるように、子供番組のぬいぐるみのような少し馬鹿にしたような口調でウサギのぬいぐるみとくまのぬいぐるみが私の元へと来た。
「お姉さんこっち」
各々が私の両手を引っ張りながら、今度は私の左手をひっぱっているくまのぬいぐるみが話しながら私を席へと誘導する。
「……?」
引っ張られながら私は自分の来た扉を見つめると、それは部屋の中にいたわけでもないのに、何故か綺麗な白いおとぎ話に出てきそうな家の扉だった。
私がその光景に唖然としながら見つめていると、二人が私を席へと誘導する。
「僕の名前はミツキ」
「僕の名前はヤマネ」
言われるがままに着席すると、私を真ん中にして右側のうさぎのミツキ君にくまのヤマネ君が話し始める。
「お姉さんの名前は?」
私の両隣に座る小動物たちが、女子高生のようなキャピキャぴという効果音が似合いそうな言い方で私に話を振る。