アリスの作り方
「歩いてきたのよ」
これ以上なんて答えれば良いのかわからない。
森の中にある扉を開けたら着いたのよ……ってそっちのが可笑しい。
「ただ歩いてきたのでは」
「たどりつかないはずだよ」
右側のミツキ君にその言葉を続けるようにヤマネ君が話す。
「?」
ああ……そう言うことか。
たぶんここに来るのは道が複雑で困難ということか……けど一方通行で迷う感じなどしなかったが。
「チェシャと名乗る男の人から教えてもらったの」
「「なーんだ」」
手を上げたり下げたりしながら、子供番組の人形のようにオーバーな表現をする。
「チェシャの紹介か〜」
「それはお姉さんはすごいってことだね」
驚いているのだろうか私の両手を右手をミツキ君、左手をヤマネ君が握りながら上目がちに私を見る。
“キュン”
その仕草が何となく可愛く見え、口元が少しほころんで少しだけときめいた。