アリスの作り方

“カチャ”


そんな彼らを見ていたら陶器の重なる音がした。
音の方向を見ると、唖然とした表情のボウ君がカップを置いて私を見ていた。


「本当?チェシャに紹介されたって?」


先程とは違く私に対し興味を持っているのか私を真剣に見つめながら聞いてきた。


「紹介って言うのはよくわからないけど、この先に帽子を被ったボウシヤがいるって教えてもらったの」


別に紹介されたわけではないだろうが、教えてもらったのは事実だ。
それから興味津々に聞く彼に対してとりあえずチェシャとのおおまかなやり取りを話した。



唯一“アリス”という言葉だけ除いて。


「お姉さんはすごいね。あのチェシャが興味を持つなんて」
「そうそうこの世界に珍しい女の子という理由だけ興味を持つ男ではないからね」


ミツキ君それからヤマネ君の順で話す。
ボウ君は何かを考えているのか、眉間に皴を作りながら私を見ていた。


「ところで紹介って何?」


私の両隣が落ち着いてから聞く。
かなり気になっていたのにタイミングがうまくつかめなかったのだ。
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