アリスの作り方
「とりあえず……家に戻りたい」
ティックと合流するのが大事だとは思うが、どこにいるかわからない彼を探すより、今は居場所のわかるビルさんの所に行くのが正解だろう。
「そうなの。じゃあ地図を描いてあげる」
そう言うと近くにあったナプキンに懐から取り出したペンで何かを書きだした。
そんな様子をのんびりと見ていたが、私の中に一つの疑問が生まれる。
「地図って……。あなた私の家がわかるの?」
「わかるよ」
とりあえず隠しているはずだ……。
いくらボウ君でも分かるはずはないはずだ。
「さっき言ったでしょう見た目で判断しないでね。僕にわからない事なんて滅多にないから」
すぐに戻ってきた返事はある意味予想の範囲内だったが、それでも今から帰る家が敵に知られているような感覚を覚えてあまり嬉しくはない。
「だからと言って教えてあげるなんて真似も滅多にないから」
ボウ君なりのフォローなのだろうか、ボソリと地図を書きながら呟いた。
「ありがと」
何故か気恥ずかしさが生まれ、ボウ君より視線を上にして呟いた。