アリスの作り方
「覚えていますが」
「ますが?」
スペードさんが続く私の言葉を待つように私の言葉を鸚鵡返しする。
「ジョーカーさんがあんな声で私を呼びましたので」
「……。」
スペードさんが不思議そうな表情で私を見てくる。
「私を殺すつもりなら、あんな表情はしないですよ。ジョーカーさんは」
この前感じた違和感。
彼は戦いを望んでいない……
そんな彼がさっきのような陽気の表情をして私を殺しに来るなんてなど考えられなかった。
殺しになんかこないでと言う願望もあるが、そう信じたかった。
「そう」
スペードさんがヒューと口笛を吹きながらジョーカーさんを見た。
それに合わせ私も視線を移動させると、スペードさん同様に少し瞳を大きくした驚いた表情で私を見ていた。
「アリスちゃんは俺の事理解しようとしてくれているの?」
私と目が合うと、はにかむ様な少し照れつつも嬉しそうな表情で口元を手で抑えながら言った。