アリスの作り方
それからはしばらくの間記憶がない。
このまま何かを考えるとそれら全てが恐怖に感じてしまう私の心が防衛本能でも働かせたのだろうか。
「もう少しで到着しますよ」
少年が私に声を掛けるまで、私は無意識に心を閉ざしていた。
「ふぇ、えっ!えっ?」
少年に声を掛けられ意識が戻る。
ここは天国か地獄かと思いながら辺りを見回すが、未だに真っ暗な岩の壁の間を私は落ちている。
まだ恐怖は続いていた。
絶望……その一言が私を包んだ瞬間、再び私を窮地へと向かわせることが起こった。
下のほうから、仄かな明かりが見えた。
と言うことは終わりが近いのだろう。