アリスの作り方
「はいっ!僕の名前は“ティック・ラーピン”といいます。この世界“不思議の国”の“時間の番人”です」
私の怒りが収まったことに気付いたのか、更に高い声で、一生懸命説明する子供のように話した。
そんな彼の様子よりも……。
「不思議の国?時間の番人?」
聞き慣れない単語ばかりでますます状況がわからなくなった。
「はい!こちらはアリス様の住んでいる世界とは別にある、不思議の国と言います」
私の住んでいる世界……ということは異世界と言う事か?
ありえない話だ……
夢の中じゃあるまいし。
異世界だなんて、ゲームや漫画の中でしか成立しない。
「ゲームみたい。じゃあ何するの?ゲームみたいに、魔王を倒すとか、お姫さまを助けるとか?」
からかうように笑いながら言う。
「ゲーム?魔王?あまりよくわからないのですが、たぶん似たようなものです」
私の言っている話が全て理解できていないのか、曖昧に返すティック。
冗談なのにまさかこうなるとは……唖然としながら続くティックの言葉を聞く。
「女王を倒して、僕達の世界の平和を取り戻して欲しいのです」