アリスの作り方


後もう一つ変わったのは……


クロノスさんの事が頭から離れなくなった事。


あの感情のない裏に隠れていた真実。

彼の事を考えるたびに胸のあたりがきつくしめられるような感覚が現れて不思議だった。


寝ても覚めても、自分が集中しているとき以外は何故か頭の中にクロノスさんが浮かんできて、けどそれはとてもあたたかい感覚で寧ろ嫌だと言うわけではなくて、更に不思議だった。





だからかもしれない……



これは夢だと……思う。



何故か今、目の前でクロノスさんがクスリと優しそうな微笑で私を見つめている。

感情の無い彼がみせるいやらしい微笑み。

それは綺麗で心奪われるような魅力と畏敬にも似た狂気を持っているようだった。



“カチャ”



微笑を絶やさずに、彼の服の内ポケットから拳銃が出てきた。
そして……その銃口が私に向けられた。


「どうして」


クロノスさんは何も言わずに銃口と、ティックのように薄い赤目をこちらに向ける。


“カチャ”


他にも銃を持つ音が複数聞こえた。


「……。」


クロノスさんの後ろに今まで誰もいなかったはずなのに、後ろには軍服のような服を着ている人たちが、クロノスさん同様に銃口を向けてきた。



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