アリスの作り方
「良かったね。鈴村さん」
隣を見るとジョーカーさんがそう言いながら微笑んでいた。
そうだ……
私の右隣には誰もいない。
「……まだ」
マダユメハツヅイテイル
そう思った瞬間……。
まわりに闇が広がった。
そして……
私はその闇に落ちていった。
深く……
深く。
そして私はまた走馬灯を見た。
小さい頃のあの女性との記憶。
色が無くなったように、透けている白い体にほんの少し淡く広がる赤い瞳。
ふわりと優しく笑うその女性は何となく、ティックや王子に似ているような気がした。
「アリス」
魔法にかられたように、私の口が勝手に動いた。
『そう……アリス』
その言葉に答えるように、まるで鼓膜の中に響くような不思議な声がする。
「ろりーなお姉さん」
再び私の口が勝手に動いた。
多分女性の名前なのだろう。
“ビリ……ビリ”
目の前の映像にノイズが混ざる。