アリスの作り方
本当にゲームでよくある話だ。たぶん女王って言っても通り名のようなもので、ようは魔王に似た存在だろう。


「だから僕はこの世界の時間を守るために。あなた様をこの世界に連れてきました」


自分達の世界がピンチだからと異世界から救世主を連れて来る話。
ゲームでは確かに良くあるかもしれないが……まさか自分が巻き込まれるとは思って
いなかった。

「簡単に言えば誘拐だけど」

「僕の姿が異世界で見える……。それこそあなた様がこの世界の時を戻す救世主…――"アリス様"である、なによりの証拠です!」


私の嫌味を聞き流しながら一生懸命話すティック。


「帰り道はあるの?」


たぶんない……事はわかっている。
こういうゲームの場合、クリアしないと元の世界に戻れないことは定番だ。


「次に二つの国をつなぐ道が開かれるのは"アリス"が必要なくなるときです。」


やはり


どうやらこのゲームも拒否権はないらしい。
< 22 / 293 >

この作品をシェア

pagetop