アリスの作り方


「誰」


相変わらず語尾を下げた口調。


「あなたの名前」
「そうなの」


そんな彼に対して、説明するように言ったが、名前を呼ばれて嬉しいと思う気持ちも無いみたいで、何時も通りの無表情だった。
ただそれが困るのか、周りの兵士たちが一瞬顔をしかめたのを私は見過ごさなかった。


「やっと教えられたようだね」


そう他人事の様に言うけど、その台詞が彼が私を気遣っているように感じ、私の心の中が少しだけ暖かくなるようだった。


「お前ら……出来るだけ無傷で捕えろ」


私達の会話の途中、スペードさんが私から目線を外しながら言った。


「どうやらこちらも心して掛からなければいけないようですね」


そう言いながら、私の目の前にナイフを出したビルさんと警防を持ったティックが立った。


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