アリスの作り方
「ルイ様は守ります。何があっても……。もう誰も失いたくないから」
そう言うティックの言葉が私の心に重く響いてきた。
私は生きなきゃいけない。
自分の為に、そして彼らの為に。
「ティック、とりあえず此処は逃げてくれませんか」
生唾を飲み込んだ瞬間、ビルさんがいつもより重い口調で話した。
「ビル」
「ビルさん」
そんなビルさんを見るとビルさんも丁度振り返り、自然と目が合う。
「大丈夫ですよ」
そう私に諭すように言うと、いつものように優しく微笑んだ。
「……。」
そんな彼に視線を奪われ見つめていると、ビルさんは真剣な表情にかわりながら視線をティックへと移動させた。
「ビル。頼んだよ。ルイ様僕の手をしっかり握っていて下さい」
ビルさんにひとこと言うと今度は私の方を見ながら、僕が誘導しますと続けながら私に右手を差し出した。
「うん」
その手を握ると、その手をとおして緊張が伝わるようだった。
「行きます」
「うん」
急いでここから逃げなきゃいけない。