アリスの作り方
「ねぇ王子様。お願いだから。俺にまかせて?」
「アリスを母さんの前に出すなら構わないよ」
そんな私の様子を気にせずに話す二人。
淡々と言う王子様に対し、心が無いからと分かっていても、ためらいの全く感じられないその様子を見ていると心の中がチリチリと熱を帯びてくるようだった。
「ごめんね」
ジョーカーさんが冷笑をしながら、短刀を取り出した。
私も戦わなくては……。
“ガチャリ”
ダイナを更に強く握り、銃口をジョーカーさんに向ける。
けど……
「縲ちゃん」
そんな風に言うジョーカーさんが私の引き金を引くのをためらわせる。
「どうして……」
“ガタガタ”
ダイナの持つ手が震える。
自分では分かっている。
私はこの銃口をひかなければならない。
けど、目の前の彼らを見るとためらってしまう。