アリスの作り方
「ごめんね」
私の方向に向かってくる、ジョーカーさん。
「嫌だ……来ないで」
来ないで!
威嚇するように銃口を向けるが、覚悟が出来ない。
だから段々と距離を詰めてくるジョーカーさんに対して何もできない。
「縲ちゃん、お願い」
「やめて」
“バーン”
大きな音とともにジョーカーさんの近くに立っていた木に威嚇するように弾をうつ。
「こんな武器、君みたいな女の子には似合わないよ」
それでもひるまずにジョーカーさんは近づいてくる。
私からダイナを奪うように手を伸ばしてきた。
“カチャ”
そう言いながら、ダイナに触った瞬間。
急にジョーカーさんの動きが止まった。
「……。」
「どうしたの?」
恐る恐る彼を見るが、彼は何も言わずに地面にひじと膝をつけて段々とへたり込んでいくだけだった。