アリスの作り方
(ジョーカーさん)
嫌な想像が頭を掠める……。
「ジョー……」
「おい……ジョーカーお前!」
動かなくなったジョーカーさんに声をかけようとした瞬間、スペードさんが私からジョーカーさんを奪い、私と同様に体を揺さぶるが効果はない。
「ちっ」
悔しそうに顔を歪ませながら舌打ちを一つすると、その辺に寝かせて脈を測るようにジョーカーさんの手首を握った。
「脈はあるみたいだ」
「ジョーカーさん。ジョーカーさん」
ジョーカーさんの空いている方の手を握りながら、何度も彼の名前を呼ぶが返事が来ない。
「ジョーカーさん!ジョーカーさん!」
それでも諦めずに私は彼の名前を呼んだ、ジョーカーさん目を開けてと。
そして何時もみたいに縲ちゃんと呼んでと。
それでも目覚めない彼をみて私の脳裏にいやな考えが頭をよぎる。
このままジョーカーさんが目覚めなかったら……。
ドクンドクンと聞こえている、彼が生きていると証明している心音だけが唯一の希望だが、このまま止まってしまったら……。
ジョーカーさん……
私は彼の手を握りながら神に祈った。
どうか彼を助けてと。