アリスの作り方
「縲ちゃん……。」
私の願いが届いたのが、しばらくしたら急にジョーカーさんの声が聞こえた。
ゆっくりと瞼を開いてあらわれた瞳と私の視線があう。
「ジョーカーさん」
少し安心して安堵のため息をつくと、何時ものような柔らかい表情のジョーカーさんと目が合った。
「心配掛けちゃったみたいだね。ごめんね」
それから……今迄からは考えられない真剣な表情で口を開いた。
それがいつもの彼とは雰囲気が違く、妙な違和感があった。
「ジョーカー」「違うよ……真守。架神真守(かがみまもり)この前約束したでしょう?思い出したら名前を呼んで欲しいって」
私が再び彼の愛称を呼ぼうとした瞬間。
彼の人差し指で私の続く言葉をさえぎり、それから、そう言いながらクスリと笑った。
「まもり?」
聞き覚えの無い言葉、繰り返すように呟きながらジョーカーさんが微笑んでいた。
「俺は君の前のアリスだよ」
そう言いながら目を細めてふわりと笑った。