アリスの作り方

「……。」


君の前のアリス……と言う事は二人目のアリス。
なら何故ティックはその事を黙っていた。

そう思いティックを見ると気まずそうな表情をした。


「ティックはこれ以上縲ちゃんに負担をかけたくなかったんだよ」


ティックを責めないでと続けながらクスリと笑った。


「あなたは……何でこんなにやさしいのですか」


哀しそうな表情で呟いたティック。
そんな様子を見ると私は彼に何も言えなくなった。


「そうしたら……縲ちゃんは僕を助けようとするでしょう」


俺の為に無理して欲しくない。
そう続ける彼の表情が消えてしまいそうなほど儚くて、胸が締め付けられるようだった。


「けど……私は」


それでも私は全てを受け入れる覚悟はしていた。
色んな重圧で壊れてしまう程弱くもない。

なのにここまで気を遣われていたなんて。


「俺は嫌だからね。正義のヒーローが女の子に助けられるのなんて」


そう切なそうにクスリと笑った。


「でも」「だからね、ティックが内緒にしてくれて良かったと思っているよ」


私の言葉をさえぎるようにクスリと微笑みながら続けた。