アリスの作り方
そんな彼の微笑みを見ていると何故か彼が消えていくような感覚が現れた。
いや……
違う。
「真守さんの体が……」
気のせいではない、急に真守さんの体が透けてきたのだ……。
まるでまわりの景色と同化するように。
「アリスは二人も要らないということです」
私の問いに答えるように、ティックが呟いた。
「どういう事?」
そう尋ねている間も彼の体は透けてくる。
その様子を見ていると、妙な焦りが生まれてくる。
「救世主はこの世界には一人しか存在できません」
「そしたら真守さんは……」
どうなるんだろう……。
「今まではマモリ様が救世主としての記憶を忘れたため、二人は同じ世界に存在できましたが、記憶を思い出した今は……。」
ポツポツと話すティック。
途中、言葉に詰まるように少しだけ言葉に詰まったが、直ぐに話を続ける。
「この世界から追放されます」
追放……
その一言が私の胸にズキリとはしった。
「何で!」
叫び声にも似た私の声が森の中に響いた。
勝手に連れてきて、勝手に返すなんて可笑しい話だ。